導入事例

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ドルビー日本支社インタビュー
ゲームに迫力と臨場感を与える立体音響テクノロジー
ゲーム開発におけるドルビーとミドルウェアの役割に迫る

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導入製品

 

2003年11月12日インタビュー

「ドルビーデジタルとアナログの同時出力」という目標

押見: ゲーム開発において、ミドルウェアやツールの重要度って、以前とは比較にならないほど高まってきていると思うのですが、ドルビーさんから見ていかがでしょうか?

ジョン: まさに、そのとおりだと思います。ミドルウェアやツールが整備されないと、ドルビー対応についてもなかなか普及に拍車が掛からないですからね。我々にとっても、開発者にとっても、そしてユーザにとっても、使いやすくて良質なミドルウェアやツールが用意されることは、とても大事なことだと思います。

押見: 現状、どのようなミドルウェアやツールが望まれていると思いますか?

ジョン: ゲームハードによってニーズは変わってくると思います。ドルビーエンコーダを搭載していない機種向けには、当然、ソフト上でエンコードすることが必要です。さらに、使い勝手のよいパンナー(Panner)や音量バランスを制御するようなミドルウェアは強く望まれていると思います。

押見: 「ドルビー対応をする」と一口に言っても、まず音像の配置から始まって、ファイルフォーマットを吟味して、さらにどうやってインタラクティブに制御しながら再生するかを考える、というように、かなり多くのことに気を配る必要があります。その段階ごとに、CRIとしても具体的なソリューションを提供していく必要があると考えています。

ジョン: 我々もいろいろとデベロッパーのサポートをしてきましたが、ミドルウェアやツールが整備されることで問題点が減り、導入へのハードルが低くなるのが理想ですね。そうすれば、我々ももう少し楽になりますし(笑)。

押見: ハハハ(笑)、そうですね。

糸川: CRIさんのミドルウェアを使ってドルビーデジタルに対応した初のタイトルは何ですか?

御子柴: テクモの「DEAD OR ALIVE 3」です。

DEAD OR ALIVE 3

(C) TECMO,LTD. TeamNINJA 1996-2003

糸川: Xboxですね?

御子柴: はい。Xboxにはエンコーダ(=ドルビーインタラクティブコンテンツエンコーダ)が搭載されているので、きっと簡単にドルビーデジタル対応できるだろうと考えていたのですが、実際はけっこう大変でした。リアルタイムにエンコードは出来るけれどプリ・エンコードされたデータは直接出力できない仕様だったんです。ストリーミングは非常に困難でした。

ジョン: 確かにそうですね。

御子柴: それで、困っていたときに、たまたま社内の別チームが開発していた「Interleaved ADX」という技術が応用できるのではないか、という話になりました。

ジョン: Interleaved ADX?

御子柴: はい。ADXの機能のひとつで、非同期型のマルチストリーム再生とは対照的に、複数の音声トラックを1つのファイルにまとめて再生することができます。同期した複数の音声を切り替えて再生することができるので、これはドルビーデジタル対応に使えるのではないかと考えた訳です。そして、実際にAIXに5.1chデータを組み込んでストリームしてみたら、上手く行きました。

ジョン: なるほど!
Sofdecは、PS2でもドルビーデジタルに対応していますよね?

御子柴: はい。PS2でのドルビーデジタル対応を検討していた時、いくつかドルビーデジタルに対応したソフトを調べたのですが、ドルビーデジタルとアナログの同時出力に対応したソフトって、実はほとんどないんですよ。そこで、ウチはその同時出力に対応しよう、ということになりました。

ジョン: それは、とても理想的な仕組みだと思います。

御子柴: はい。それで実際に試してみたのですが、最初、オンメモリに小さな容量の5.1chデータを置いて鳴らすというところまではスムーズにできました。その後、ストリーミングに挑戦していくわけですが…、これがなかなか大変でした。

押見: PS2の場合、エンコーダは搭載されていませんから、プリ・エンコードしたAC3ストリームを用意しなければなりません。とは言っても、AC3ストリームを直接流すことはできないので、IEC61937形式に変換しなければなりません。

郷原: そこで、AC3の英文資料を片っ端から読み漁り、パケットの分割方法とか、パディングの仕方とか、どうやってS/PDIFとしてデータを吐き出すかとか、いろいろな情報を集めていきました。

御子柴: それらの情報をもとにADXで音を鳴らしてみたら、今度は内部的な問題が発生し、音がブチブチと途切れてしまったんです。そこで、ADX自体の内部調整が必要だということが判明しました。そして社内のADX開発チームに改良をお願いしていたのですが、当時、他の案件で手一杯でなかなか進まなかったんです。そんな時にジョンさんと何度かお会いする機会があって、会うたびに「どうですか?」って聞かれて、苦しかったです(笑)。

ジョン: ハハハ、それはすみませんでした(笑)。

御子柴: 結局、対応できるまでに10ヶ月以上かかってしまいました。

押見: デジタルとアナログの同時出力を実現した例って、今までに無かったので、そのためのリサーチと調整が大変でしたね。「理論的に可能」であっても「技術的に可能」かどうか見当が付かなかったんです。さらに具体的にどうやって実現するかという、基本的なところから模索する必要がありました。

御子柴: とにかく情報収集が大変でした(笑)。

糸川: 本当にご苦労様です。でも対応して頂けたのは、私たちにとっても、デベロッパーさんにとっても、本当に嬉しいことだと思います。オプティカルケーブルを繋いでいる人もそうでない人もいるわけですから、デジタルとアナログの同時出力によって、オプションで選択しなければいけないような面倒をユーザに強いる必要がなくなりますからね。

押見: オペレーションはなるべく少なくして、ユーザ側の負担をできるだけ軽くしたいですからね。さらに、開発時も仕様がシンプルになりますから、メリットは大きいと思います。苦労して対応した甲斐があったなぁ、と。

糸川: そういう意味では、ミドルウェアベンダーさんって、ユーザとデベロッパーとの橋渡し的な役割をはたしていますよね。

押見: 確かにそうかもしれませんね。

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