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アルトネリコ3 世界終焉の引鉄は少女の詩が弾く イメージ画像

音楽とゲーム性の融合!『アルトネリコ3 世界終焉の引鉄は少女の詩が弾く』世界初の楽曲自動生成システムに込める想い

プラットフォーム

PlayStation 3

導入製品

CRI ADX / CRI Sofdec / CRI Audio

2010年1月29日インタビュー
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———今回、「ADAMS」以外にCRIの「CRI ADX」「CRI Sofdec」「CRI Audio」という3種類のミドルウェアを採用していただいたきっかけを教えてください

土屋: 「アルトネリコ」シリーズを通してお世話になっていたのと、5.1chに対応したオーディオの統合環境が用意されているのが大きかったです。ツール面で環境がしっかりしているので、外部のサウンド会社さんとの連携も上手くいきました。また、音素材の管理に初めてエクセルを使わずに済んだんです。

樋口: 今までだとサウンドデザイナーとサウンドプログラマーの間でエクセルにファイル名を記入してやり取りをしていました。それが今回は「CRI Audio」の統合環境の中で完結したので、作業が非常に効率化できました。

———Sofdecを使っていただいたオープニングのムービーは凄いですね

河内: 発売してからそういう声をいただく事が多くて、改めて実感しています。発売前の段階ではPVで一部のシーンだけを見ることができたわけですけど、フルバージョンはゲームを買ってから初めて、そのすべてを見ていただいたわけです。そこでようやくオープニングに込めたすべの意図が見られる。

———無数の鳥が飛び立つシーンなど、ムービーで再現するにはかなりノイズが出そうな難しいシーンという印象でした。苦労されたのではないでしょうか?

土屋: オープニングはSofdecに完全にお任せしています。Sofdecのツールに任せるだけで十分なクオリティが出ていると思います。標準提供されているムービー作成ツールと再生ライブラリを使っていた時代は結構苦労していましたが・・・。それだけSofdecの技術がしっかりしているということで感謝しています。

———ノイズもなく、かなり綺麗なムービーだと思うのですが、どのくらいのビットレートを割り当てているのでしょうか?

土屋: 大体26Mbps くらいでしょうか。容量的には大きめなので、できるならクオリティを維持しながらデータサイズを減らしたいところです。

押見: たとえば、「分割エンコード」という手法も使えると思います。動きが激しい場面とそうでない場面を別々にエンコードして、後でつなげて再生する手法です。先ほどの無数の鳥のシーンなどには高いビットレートを割り当てて、さほど動きのないシーンには少し低めのビットレートを割り当てる、といったことも可能です。

土屋: なるほど、それは使えそうですね。ただ、そこに試行錯誤をしている時間がなかった、というのが正直なところでもあります。

押見: CRIではエンコード代行サービスも行っています。お試しエンコードは無償ですので、次回はぜひお試しください。

土屋: そうですね、次回は検討したいです。

———今回、ハードディスクへのデータインストールが必須となっていますが、どういう経緯でしょうか?

土屋: 基本的にはアダプティブミュージックを実現するためです。インストールデータのほとんどが「R.A.H.」用の素材データだったりします(笑)

樋口: ハードディスクにインストールしないと読み込みが間に合わないかどうかまでは実験してないのですが、ディスクからの読み込みでは間に合わないだろう、ということでそういう仕様にしています。

———プロトタイプはPCで作られたそうですね

土屋: ガストはずっと以前から同様の方法でやってきているんです。

樋口: 実は社内用のイベントエディットツールのようなものを使って、動くシーンや戦闘中のアクションを制作しているんです。それがPCで動作するものなので、PCが作業しやすいという理由からです。PCで作ったものをPS3に移植するという形ですが、厳密にここまではPC、ここからはPS3という分け方ではなくて、ある程度制作が進行する毎にPS3での動作を確かめながら、徐々に作っていくというスタイルです。

河内: 実機での仕上がりがなかなか見られないので、プロデューサーとしてはやきもきするんです(笑)。世界初の楽曲自動生成!といってもPS3の実機で動くものはなかなか見ることができませんでした・・・。社内で説明するのにも一苦労でした(笑)

■土屋氏に聞く音楽へのこだわり

———「アルトネリコ」シリーズを通じてだと思いますが、スペックが高いマシンではどちらかというと映像に目がいきがちな中で、「音」で現世代機ならではの表現をするというのはどういったところがきっかけになっているんでしょうか?

土屋: 今はそこまで強烈に思っているわけではありませんが、ガストにサウンドクリエイターとして入社した当時は、「音楽」があまり重要視されていないことに腹立たしさを感じたこともありました。ゲームの企画の場面でも、画面にはこだわるけど音は仕様書にも入らずに、出来上がってくるゲームを見て音を作るという時代がありました。最初に担当したタイトルでも、町の場所によってシームレスに音楽が変わっていくというシステムを提案しましたが、「その余力はない」と一蹴されたりして(笑)。その頃から、音が無ければゲーム性が成り立たないくらいのゲームをいずれは作りたいと思っていました。

———なるほど、まさに「アルトネリコ」の原点のようなものですね。

土屋: 「アルトネリコ」シリーズに関しては「歌」と「音楽」で勝負をしているタイトルで、そういう意味では作りたいとずっと願っていたゲームです。特に音楽とゲーム性、シナリオとの融合ではパイオニア的な気負いでやっています。『アルトネリコ』は歌や曲をゲーム性の部分に密接に関わらせていくというチャレンジでした。『アルトネリコ2』では戦闘中に歌を入れました。そして『アルトネリコ3』では「アルトネリコ」の世界観により忠実に、ヒロインがその場で歌を紡ぎだしていくという設定を、アクティブ楽曲生成システム「R.A.H.」 で実現することができたと思います。

押見: ユーザが選んだアイテムによって曲が変わっていく、という点で、「R.A.H.」はある意味では音符を取り払った作曲行為とも言えると思います。

土屋: 確かにそうですね。作曲ソフトが流行したこともありますが、よっぽど意欲のある人でなければ音楽を作るというのはハードルが高いと思うんです。「R.A.H.」の楽曲自動生成システムを考えたとき、ユーザの方が細かく音データの組み合わせを考えて戦闘するようなやり方では受け入れられないだろうと思いました。それで「R.A.H.」はブラックボックスを大きくして、、(ヒューマという)装備するオプションによってノリノリ、ロック調、電波ソングのような大きなくくりで設定出来るようにしていて、深く考えなくてもバラエティに富んだ楽曲を楽しめるような設計にしています。厳密に意図した通りの楽曲を正確に作る、という事は難しくなりますが、簡単に大体狙った方向性になるようなシステムを目指しました。

———今後、土屋さんが目指したいと思っている新しい音楽の形はどのようなものですか?

土屋: 最近強く感じているのは、3D サウンドが普及してゲームメーカーも当然のように対応するようになってきましたが、逆に日本の家庭での5.1ch サラウンド普及率は依然低いままであるということです。正直なところハードルが高いと思っています。ですので、ごく普通にステレオスピーカーでサラウンドを疑似体験できるようなことをミドルウェアで実現してもらうような事は出来ないかと考えています。ただ、バーチャルはどうしても人によって感覚に差が出てしまうと思いますので、例えばコンフィグ画面で自分に適したポジションやパラメータを指定してアジャストするような・・・。

押見: なるほど、バイノーラルサウンドのことですね。実はCRIでもチャレンジはしています。おっしゃる通り、頭の形をモデリングして音を鳴らすので、個人差が出てきてしまうんです。でもコンフィグ画面で設定するというのはいいアイデアですね。それに、3D映画も97%の人は楽しめるけど、3%の人は実は立体に見えない技術だそうです。厳密なサラウンドでなくて、多少位相はズレたとしてもエンターテイメントとして楽しめるものになればいいと思うので、実現する意味はあると思いますね。

土屋: 完全に理想形でなくても、エンターテイメントとしてある程度のものができれば日本も変わるかなと思います。

押見: ええ、ぜひやりましょう。

■最後に

———『アルトネリコ3』は今後、追加コンテンツなどを予定されているのでしょうか?

河内: 準備はしていますのでご期待ください。詳細は続報をお待ちいただければと思います。

———なるほど。今後の「アルトネリコ」シリーズの展望などあれば聞かせてください

河内: それは皆さんの応援次第です(笑)。まだまだ何かをやりたいという希望は持っていますが、それはやはりユーザの皆さんの声や、土屋さんが新大陸を発見できるかにかかっています(笑)。今は『アルトネリコ3』の世界をたっぷりと楽しんでいただければと思います。

———それでは、毎回恒例なのですが、ゲームユーザさんへの一言と、同業のゲーム開発者さんに今回の教訓なり挑戦状、もしくはエールなどをいただけないでしょうか?

樋口: 今回は「R.A.H.」のシステムを担当させていただいたので、ぜひユーザさんにも色々な組み合わせを試していただいて、紡ぎ出される音楽を楽しんでいただければと思います。開発者の方には、CRIさんに大変お世話になったので、ぜひ皆さんも何か困ったことがあれば、相談するといいんじゃないかと思います(笑)。

土屋: ユーザの皆さんには、「R.A.H.」は色々な意外性を持ったシステムですので、様々なヒューマを使って遊んでみて欲しいと思います。開発者の皆さんには、皆さん凄く技術力を持ってらっしゃいますので、それを活かしてもっと冒険して欲しいですね。新しいアイデアや試みは躊躇しがちですが、失敗しても胸を張れるようなチャレンジをしたゲームがもっと出てくるといいなと思います。ぜひ一緒に頑張っていきましょう。

河内: 「アルトネリコ3」をようやく形にして世に出すことができました。「R.A.H.」については徐々に色々なヒューマが手に入って、面白くなっていきます。ゲーム中にリアルタイムで生成される楽曲であるという特性上、WEBや雑誌ではお伝えし辛いのが心苦しいですが、ぜひ自身の手で触って、楽しんでいただきたいです。開発者の皆さんには、新しい挑戦というのは本当に意味のあるものだと思います。ガストさんと一緒にやらせていただくことになって3作品を作ってきましたが、長くゲーム作りをしている中でも、かなり刺激的な時間を過ごすことができています。新しい冒険をし、それを形にするのは、開発に関わるものとして醍醐味と言えるものじゃないかと思いますので、もっともっと業界全体で盛り上げていければと思います。頑張っていきましょう。

———本日はありがとうございました!

バンダイナムコゲームス未来研究所にて

バンダイナムコゲームス未来研究所にて

(C)GUST CO.,LTD. 2010 (C)2010 NBGI

※当ページでは、ゲームニュース&コミュニティサイトiNSIDEにて掲載された記事をご紹介しています。

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