導入事例

涼宮ハルヒの追想 イメージ画像

最新技術で温故知新・・・開発者の思い入れが詰まった「ハルヒ」の集大成『涼宮ハルヒの追想』

プラットフォーム

PlayStation 3 PSP

導入製品

CRI ADX2 / CRI Sofdec2

2011年5月16日インタビュー

———開発のスタートはいつくらいですか?

二見:2009年の冬くらいですね。映画の公開よりも前で、最初は映画の資料もありませんでした。そこから準備を始めて、2010年の1月から実作業に入った感じです。

———PS3とPSPで同時開発された狙いは何でしたか?

一番を目指したという二見氏
一番を目指したという二見氏
二見:自分の中では『ハルヒ』は必ず一番じゃなければいけない、という思いがあるんです。これまでオリジナルの美少女ゲームではPS3タイトルがありましたが、ライトノベル原作のキャラクターゲームでPS3タイトルというのは、『ハルヒ』でなければ企画として成立が難しいと思うんです。
その上で、さらに新しいことをやりたかったので、PS3とPSPの同時展開をして、セーブデータも共有できて、どちらを遊んでも楽しい環境を提供したいなと考えました。そうすることが、『涼宮ハルヒ』というキャラクターに対する礼儀だと思ったんです。

小林:僕等もそれまでPSPタイトルが多かったので、もしPS3で作るなら、こんなことをやりたいというアイディアを、ずっと持っていたんですよ。たとえばフォントやUIデザインなども、開発室に40インチ以上の大画面テレビを持ち込んで、その画面を見ながら作り込んでいきました。

澤坂:もともとPS3とPSPで同じゲームを作るというのがコンセプトで、開発もほぼ並行作業となりました。ソースコードも完全に共有しています。もっとも作り方としては、実績があるぶん、まずPSPで作ってから、PS3向けに磨くという感じでしょうか。

小林:とはいえ、PS3とPSPでは内部データの持ち方などが違いますから、微妙なところで大変でしたね。

———具体的にPS3、PSPの同時開発で苦労したのはどのような点ですか?

小林:PS3での開発が初めてだったことに加えて、フルHDの画面で作ったところが、とても大変でした。2Dのゲームは簡単そうに思えるかもしれませんが、実はグラフィックは背景も含めて3Dで持っており、さらにフルHDでデータサイズも膨大だったので取り回しにも苦労しました。

———フルHDだと元の絵も重要になりそうですね。

小林氏
小林氏
小林:画面が大きいだけに、しっかり作らないと、見栄えの悪さが目立ちますからね。もっとも、ゲーム屋さんもさることながら、アニメ屋さんの環境でも720Pが主流で、フルHDでの映像制作は、まだまだ少ないんです。そこにうっかり足を突っ込んでしまったので(笑)、あらゆる面で大変でした。
まずアニメ屋さんと、どう環境を設定するか苦労しましたね。線の太さや色の塗り方なども重要でした。また遊ばれた方はわかると思いますが、ゲームの途中で文芸部の展示が変わってくるんです。ここの管理も非常に大変でした。

澤坂:キャラクターのまばたき、口パクなどのアニメーションも、パーツを手動で行うとずれてしまうので、専用のスクリプトを組んだり、ツールで行ったりしたのですが、フルHDサイズのデータだと、下手をすれば1キャラ分の処理をすませるのに、1日くらいかかってしまったんです。それを90キャラ分だなんて、とても間に合わない。そこで急遽、64ビットの開発PCを導入することになりました。

———ボイスの収録も大変ではありませんでしたか?

澤坂:ボイスファイルは全部で約18000ファイルになりました。

小林:マスターの録音データから、PSP用とPS3用で2つの音声ファイルを作成しました。PS3版はブルーレイの大容量を活かして、かなりマスターに近い、声優さんの息吹まで感じられるものになりました。PSP版は容量の関係で圧縮をかけています。

———ブルーレイ版のディスクの中身の内訳はどうなりましたか?

澤坂氏
澤坂氏
澤坂:3.5GBがスクリプトと画像関係で、実際はほとんど画像データです。そのうち5分の2が、先ほども言ったようにトイクロック関連のデータなんですが。サウンドは音楽とボイスをあわせて1GBくらい。のこり4.5GBから5GBが特典用ムービーです。オープニングとエンディングは、あわせて500MBくらいでしょうか。特典用ムービーが圧倒的ですね。

二見:本当は1時間くらいのCGムービーを作りたかったんです。さすがに予算的に難しく、10分くらいになってしまいました。そのかわり、声優さんのインタビュー映像を収録しました。いずれもフルHDのムービーになっています。特にCGムービーは、あれだけのクオリティのものがフルHDで収録されているという点で、貴重ではないかと思います。

小林:はじめて見た時は、すごすぎて唖然としたくらいですよ。逆にオープニングとエンディングは、あえて720Pで収録しています。ぜひフルHDの特典ムービーを見て、クオリティに驚いて欲しいですね。

———ガイズウェアさん開発のキャラクターゲームは、画面上でキャラクターがなめらかにアニメーションされるのが特徴ですが、本作ではさらに磨きがかかっていますよね。

小林:はい。そうした演出は独自ミドルウェア「S.O.S.II(※)」の賜物です。本作ではこれをさらに発展させて、最大3人まで画面にキャラクターを表示し、アニメーションさせる、といったことに取り組みました。キャラクターの気持ちを、表情だけでなく、動きやシルエットで、より深く表したかったのです。それもPS3だけでなく、PSPでも行いたいと。こうして作ったのが「S.O.S.II」です。そのため余計に安定して動くミドルウェアで脇を固めたいと思っていました。

(※)「シームレス・オペレーション・システム2」の略称。ガイズウェアが開発したキャラクターアニメーションシステムのミドルウェアで、頂点モーフィングと加算モーション技術を用い、1枚の平面画像を3Dモデルとして、表情変化を含めリアルタイムアニメーションさせることができる。

■音声ミドルウェアは開発にどのように役立ったか?

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