導入事例

デーモントライヴ イメージ画像

Unity×ミドルウェアでスマホアプリの表現の限界に挑戦!『デーモントライヴ』のサウンド・ムービー演出面のこだわり

プラットフォーム

iPhone/iPad

導入製品

CRI ADX2 / CRI Sofdec2

2013年4月10日インタビュー

CRI:続いてサウンドについてもご相談がありました。

秋葉: BGMやSE、ボイスなどが盛りだくさんで、機種によってはメモリからあふれそうになっていたんです。ご存じの通り、Unityで扱える標準サウンドファイル形式はADPCMとMP3しかなくて、圧縮率や再生負荷の調整が難しかったんですよね。一方で本作では音にこだわりたいという要望がアートディレクターの植田からありまして。SEだけで200ファイルくらいありました。

杉山:BGMだけでも最初は10曲くらいあったんです。それでも多いなと思いましたが、最終的に18曲になりましたからね。そもそもバトルシーンが最大で10分くらい続くと伺った時から、これは同じ曲のループだけではすまないぞと。最低でも3分の尺で3曲くらい必要になりますねと言ったら、じゃあお願いしますと言われたんですが・・・

秋葉:案の定メモリが不足して、一時は圧縮しすぎてAMラジオ以下の音質の、まるで戦場無線みたいな楽曲になっていました。その上ボイスまで加わることになったんです。最初はボイスファイル、ゼロだったんですよ。ところが「キャラごとに声優を変える」「攻撃時の掛け声でバリエーションを増やす」「召喚時のボイスも全部変える」とか、いろいろ出てきて。ほんとに、どうしようかなと。

杉山:最終的にボイスファイルが499個になりましたよね。

———ボイスファイルはゼロの予定だったんですか?

山田:デーモンについては収録予定でした・・・自分の中では。ただ、バトル中のボイスで声優さんを当てるというのは、かなり後の方の話ですね。しっかりとした声優さんに当ててもらって、クオリティが上がって良かったです。実は、ちょうどその頃、特撮にはまっていまして、 それっぽい変身ボイスが欲しいなと。

———デーモンの変身は特撮ヒーローがモチーフだったんですか!

山田:電子音で変身するのも面白いかも、なんて。会議室で変身ベルトの玩具をはめて、音を鳴らしてみたりもしました。まあ、それはやりすぎだろうと、採用はされませんでしたが(笑)。

———確かにそれはやりすぎかも。

山田:ただ、何かそういった面白い部分を付加価値として加えたいなあと思ったんですよ。そこはゲーム屋ですから、ユーザーにすげえとか、面白いとか感じて欲しいですし、自分たちが作っていて楽しいようなところがないと。そこはF2Pゲームでも同じかなと思います。

CRI:最初にご相談があった時、開発中の生データをお預かりして、こちらでオススメの圧縮設定などをご提案させていただきましたね。実際に自分たちが生データを触る機会はほとんどないので、たいへん貴重な経験となりました。

秋葉:サウンドのCPU負荷が思った以上に軽かったのが、「CRI ADX2」(以下「ADX2」)採用の決め手となりました。3vs3の通信バトルで、エフェクトもモデルも大量に出ていてと、すでにCPUがかつかつだったんです。実際に載せてみるとものすごく軽かったので、これでいこうと決めました。

———すでに動いていたサウンドシステムを組み替えるというのは、大変だったのではないでしょうか?

秋葉:そうですね。ただ、今回は私がUnity標準のサウンド再生システムを一元管理するスクリプトを作り、音はそこ経由で鳴らすように他のプログラマに指示を出していました。そのため、根幹の部分だけを「ADX2」に乗り換えれば良かったんです。

杉山:それは最初から見越していたんですか?

秋葉:まったくの偶然ですね。ただ、Unityのサウンドシステムをそのまま触るのは、正直怖かったんですよ。自分が全部管理するから、そこを経由して触ってくださいとお願いしました。

———それは慧眼でしたね。

秋葉:また、元々本作ではデータの追加配信を行う予定がありましたから、サウンドデータをアセットバンドルで管理するように決めていました。それもあって、サウンドのデータを自分の方で一元管理していたんです。実際、サウンドのファイル管理も「ADX2」を導入したから、なんとかなった部分がありました。

———どういうことですか?

秋葉:Unityでは、はじめにUnityエディタ上にサウンドファイルをすべて登録してから、エディタ上でADPCM変換やMP3変換をする手順をとっています。そこで最初はプログラマーがサウンドファイルをもらって、まとめて変換するという手順で進めていましたが、途中からファイルが増えすぎて、悲鳴が上がり始めたんです。

———容量はどれくらいになりましたか?

秋葉:アプリサイズが40MBくらいで、その後にダウンロードするデータも含めて、トータルが250MBくらいでしょうか。もっとも、ほとんどがステージやデーモン、UIなどのテクスチャデータです。サウンドファイルは元々450MBくらいあったですのが、「ADX2」の独自コーデックを使用することで20MB以下になりました。ムービーも数十MBくらいだったと思います。

■スマホアプリの常識を越えたこだわりのサウンド

———サウンドを実際に作られる上で、何か影響はありましたか?

杉山:途中からどんどんボイスが増えていって、後半から作業量が急増しましたね。これは一人では無理だと思って、森田に加わってもらったんです。それがちょうど昨年の8月頃だったので、同じタイミングで「ADX2」が使えるようになったことが、逆に福音でした。今まで慣れていたコンシューマでのやり方で作業が進められましたからね。

———たとえば、どういったところですか?

杉山:Unityの標準的なサウンドの機能だと、曲をループ再生する時に、先頭からしかループできないんですが、これが「ADX2」を使うことで、曲の途中にループポイントを設定しておき、そこから繰り返せるようになりました。こういった基本的な部分で悩まずにすんだのは大きかったです。圧縮設定などもCRIさんにお任せになりましたが、逆にBGMやSE作りに集中できました。

森田:元々CRIさんのツールは別の作品でも使っていたので、慣れていました。

———サウンドのコンセプトについて教えてください。

杉山:自分が係わった頃から、バトルシーンのプロトタイプができていました。グラフィックのテイストや世界観もできあがっていたため、すんなりと入っていけましたね。最初から映画のサウンドトラック的な壮大さと、エッジの効いた、いわゆる「セガっぽいサウンド」の両方を要求される感じがしたんです。はたしてiPhoneでどれだけできるのか、悩んだところもありましたが、やるしかないと。それでスマホということは考えずに、がつんと作っていくことに決めました。

———サウンド作りで何か工夫はありましたか?

杉山:世界観がかたよるとよくないと思って、楽曲はすべて森田と二人で合作しました。ダンスミュージック風のパートは全部自分が作って、シンフォニーの部分とバトルの部分は森田が作りました。僕のエッジが効いたサウンドと、森田のシンフォニックなサウンドという、それぞれの持ち味を上手く融合できたのではないかと思います。また育成パートの曲はかなり長く聞くものなので、ずっと聞いてみても疲れないように考えました。

森田:実際、育成パートの曲はかなり前から作っていましたね。その後、最後の方で組み込みをやった時にバランスをとりました。

———スマートフォンならではの苦労はありましたか?

杉山:音の「さわりごこち」にこだわりました。音が画面を押した時に鳴るのか、離した時に鳴るのか、スライドして離す時になる音なのか、全部操作感が違うんですよ。実際、スマホアプリの中には操作に対して、ワンテンポ遅れて音が鳴るように聞こえるものもあるので、タッチやスワイプなどに合わせた効果音の鳴り方には神経を使いました。家庭用ゲーム機のような感覚で音を付けると、アウトだったりするんです。どこか違和感があると言われたら、その場所を教えてもらって「ADX2」でタイミング調整をしました。

———他にもデータの追加ダウンロードなどを行う時に使用する、インストーラー部分にも「ADX2」を使用していたとのことですが。

秋葉:ネットワークは苦戦するところで、3G回線やLANの状態でトラブルが起きがちですが、CRIさんには丁寧にサポートしていただいて、とても助かりました。英語でバグレポートや修正要請を書かなくても、すぐに直してもらえたのは助かりましたね。

———ゲーム中でも通信がたくさんありますが、いずれも短時間で終わる印象です。

秋葉:いろいろ細かい工夫を積み重ねています。サーバ側のエンジニアががんばりました。本作のようなコンクエスト系のゲームでは多くの場合、1ワールドで数千人くらいが同時に繋る感じですが、本作では1サーバで数万人から数十万人がぶら下がります。そこがサーバを構築する上で大変だったところです。

山田:本当に小さなノウハウの積み上げでできています。元々コンソール系の開発者なので、インフラ周りのノウハウが多いわけではないが、『Kingdom Conquest』以降の積み重ねで、ある程度蓄積されてきました。

■UnityとCRIWAREの連携で驚きの品質を!

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