株式会社ヒットメーカーインタビュー
ゲーム史に革命を起こした「WORLD CLUB Champion Football」シリーズ
アーケードゲームという分野で、ミドルウェアが果たす役割とは?
プラットフォーム
導入製品
CRI ADX / CRI Sofdec
押見: ムービーのエンコード作業は社内でやられたのですか?
奥田: 前作のときは自分たちでやりましたが「2002-2003」に関しては、御社にやってもらいました。ムービー画質のクオリティアップで苦労していたときに、ちょうどCRIさんにエンコードサービスがあることを知りまして、それなら試してみよう、と。
笹木: 今回、私がエンコードを担当させて頂いたのですが、NAOMI上での再生ということで、実はいろいろと制約がありました。色空間補正も出来ないですし、DC成分精度を上げることも難しいですから、結局、エンコードで頑張るしかなかったんです。
渡辺: 確かに苦労されていましたよね。いろいろとありがとうございました。
奥田: 御社のエンコードサービスが有料だということは聞いていたんですが、正直言って、料金を聞いてビックリしましたよ。だって、ケタ外れに安いじゃないですか。CRIさん大丈夫なの?って思いましたよ(笑)。まぁ、だからこそ何の迷いもなく、エンコードをお願いすることができたんですけど…。
鈴木: ハハハ(笑)、確かに。エンコード業務はサポート的な意味合いが濃いものですからね。ご存知の通り、Sofdecはデコーダなのですが、いくらデコーダとして性能が良くても、エンコードがマズいとすべてが台無しになってしまうじゃないですか。そういう意味で、CRIとしてもなるべくエンコード段階からお手伝いしたい、という気持ちがあるんです。だからこそエンコードサービスを始めたんですよ。
渡辺: 手伝って頂いて、本当に助かりました。おかげさまで、前作よりも今作のほうが、明らかにムービーは綺麗になりましたからね。
鈴木: セガサターンの頃からSofdecを手がけていますが、当時は内部でエンコードが出来なくて、エンコード専門業者にやってもらっていました。まだ、エンコード業者なんて数えるほどしかなかった時代です。しかもクオリティもあまり良くありませんでした。その頃と比較すると、ようやく自社内で、しかも胸を張って「最高画質です!」と言えるクオリティのものを提供できるようになれたのは嬉しいですね。
奥田: エンコードって、動画再生にとっては要の部分ですからね。もともとウチで作業していたときは、320×480pixelでエンコードしてそれを横に引き伸ばして表示していました。その後、1.5倍ずつ引き伸ばすほうが綺麗になるという噂を聞いて、実際に試してみたらクオリティが上がったんですよ。その時「エンコードっていろいろなノウハウが必要なんだな」ということを理解しました。そして、プロに任せるに越したことはないな、と。
渡辺: WCCFは、NAOMI上での動画再生、というハードスペック上の限界はありますけど、その制約のなかで、最高クオリティのものを実現することが出来たと思います。
笹木: NAOMI向けのエンコードは、本当に例が少ないんです。まさにコマ落ちとの闘いでした。コマが落ちないギリギリのラインで、いかに画質を上げていくか、ジリジリと調整しながらの作業でしたね。映像の素材自体も圧縮しにくいものだったので、かなり苦戦しました。さらに、表示するデバイスも普通のブラウン管や液晶ではなくDLPでしたので、CRI内で実際に表示チェックが出来なかったんですよ。
渡辺: そうでしたね。DLPって色空間も違いますし、そもそもVGAである時点で従来とは大きく異なりますからね。だから、わざわざチェックのためにウチまで来てもらいましたよね(笑)。ご苦労様でした。
奥田: あの時は「えっ? わざわざチェックに来てくれるの?」ってビックリしました。あんな安いエンコード価格で出張サービスまでやってくれて、大丈夫なの?って(笑)。
笹木: いえいえ、サポートの一環ですから(笑)。でも、おかげさまでいろいろな新しいノウハウを蓄積することが出来ました。あんなに大きな画面にSofdecが再生されることなんて、無かったですからね。
奥田: ムービー再生中であっても、WCCFは裏で通信のためにプログラムが動いていたりしますから、フルスペック使えないという制約もありましたからね。いずれにしても、前作と比べても、また、自分たちでエンコードしたものと比べても、より良いクオリティを出せたので満足しています。自分たちじゃ、到底、量子化マトリクスの調整とか、細かいところまではなかなか手が回らないですからね。
笹木: そう言って頂けると、頑張った甲斐があります。ありがとうございます!
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