限界突破!ドラゴンボールへの愛×次世代機で実現した『ドラゴンボールZ バーストリミット』インタビュー
プラットフォーム
導入製品
CRI ADX / CRI Sofdec / CRI Audio / CRI Clipper
藤本: 実は「Clipper(※)」も使わせていただいたんです。
(※)Clipper…音声データを解析して、口の形状(口パターン)を自動的にデータ化するシステム
加茂: 元々の作品はご存知のようにアニメですから、「Clipper」を使ってリップシンクを行おうと思いましたが、音声解析の精度が良過ぎて、「Clipper」が出力したデータをリダクションする必要がありました。あまりにもリアルに口が動きすぎて、かえってアニメらしくない(笑)。精度を悪くしてくれというのも変なお願いですが…(笑)。
CRI Clipperのしくみ
———リダクションというと実際にはどのような作業を行ったのでしょうか?
加茂: 「Clipper」によって出力されたデータを上手く間引く作業です。例えば「あいうえお」というのを「あーうーお」にしてみたりといったことを行いました。
青木: これが写実的なモデルであれば全く問題はないのでしょうが、アニメ調のグラフィックでここまで動くとどうしても気持ち悪くなってしまいます(笑)。「Clipper」にアニメ的な表現をするためのオプションがあると、我々としては有り難いですね。どれだけ要望があるかどうか分からないですが。
後藤: もともと人の口じゃない人(?)もいますからね…サイバイマンとか(一同笑)。
———今回オンラインでの全世界対戦に対応されましたね。
三戸: やはり「ドラゴンボール」という、全世界で人気のある稀有なシリーズですから、ぜひ実現したい部分でした。日本でも当然そうですがヨーロッパやアメリカでは、ともすると日本以上に人気がありますので。2つのハードで世界で同時期に発売というのは、非常に難しいことでした。アメリカで「ゴクー、ゴクー」と言っているファンと日本で「悟空」と言っているファン同士がオンラインで対決できるというのは、本当に夢のようなシチュエーションだと思います。
波間: デバッグも大変でしたね。日本と北米、日本と欧州、北米と欧州…という風に回線を用意してもらって、リアルタイムに「今変身した?」とか電話で会話しながら(笑)。時差があったのでそういうことを朝7時からやっていました。
バンダイナムコ 波間氏、三戸氏
———今後挑戦してみたい企画や取り組みなどがあれば聞かせてください。
三戸: 「ドラゴンボール」という作品は原作もアニメもずいぶん前に終了しています。それにも関わらず、日本でも欧米でも、新しいファンが増えています。10代も 20代も30代も皆が「自分はドラゴンボール世代」と思っている稀な作品です。当然面白いエピソードは数限りなくありますので、それぞれの良さを活かしながらゲームにしていけたらと思っています。
藤本: 次世代機でのチャレンジということで非常に勉強になりました。とはいえ、作るだけで精一杯というところもありましたので、次回作では今回の経験を活かしながら、CRIさんとも更に密にやらせていきながら、もっともっと良いゲームを作っていけるように努力したいですね。今作はバトルゲームでしたが、それ以外のベクトルでも考え得る作品だと思っていますので、次世代機のポテンシャルを活かしてそれを表現することができればと思っています。
青木: 企画職の立場から言うと、『バーストリミット』でやり残したことは沢山あるのでそこに取り組んでいきたいと思っています。何か新しいことをやるためにはデザイナーやエンジニアに「できる」と言わせないといけないわけで、それを実現するためのミドルウェアやツールや環境が不可欠です。彼らが仕事をしやすくなれば、私としてもワガママが言いやすいので(笑)。そういった意味では、野望を叶える環境は整いつつあると感じています。
後藤: 新しいゲーム性の部分では頑張っていきたいと思います。
加茂: やはり子供の寝顔しか見られない生活から脱却したいというのが一番ですね(笑)。とにかく時間をかければその分だけ素晴らしい物は作れると思うんです。ただ、時間は有限で、その意味でCRIさんのミドルウェアやツールは、目標のクオリティに最短距離で近づくために無くてはならない物だと思っています。単純作業に追われていると、その分だけクリエイティブな部分に割ける時間は減りますから。今後も色々な手助けを受けながら、面白いと思って貰えるものを提示し続けたいと思います。
大島: 省力化できる部分は省力化して、ちゃんと時間をかけなくてはいけない部分に時間をかけるような使い方ができればと思っています。
迫力のバトルが実現も、まだやり残したことも
———他のゲーム開発者の方に一言コメントをお願いします。
大島: このクオリティを超えられるものなら超えてみろ!ということで(笑)。
加茂: 大作主義、リアル主義が主流になっている中で、僕たちはそれとは少し変わった方向にパワーを入れて頑張ってみました。こういう方向もアリなのか、どういう受けとめ方をされるのか楽しみにしたいと思います。
後藤: ゲーム業界自体を盛り上げていきたいということですかね。ゲームの開発現場は今どこも大変になってきていると思います。お互いに任せられる部分は任せて、自分たちの強みを活かして、それぞれの役割をしっかり持っていけば絶対にいい物が出来ると思っています。広い視野で、別の会社だからとかではなくて、どんどん協力していくという姿勢が大事かなと思っています。
ディンプス後藤氏
青木: 我々と同じように苦しんでいるチームは沢山あるはずだと思います。この先何年も同じ苦しみを毎度毎度続けていくのか、それとも開発体制に変化をつけていくのかということだと思います。辛いことに毎回コストを払うのは馬鹿らしいことなので、海外でも採用されている開発体制の手法などを参考にするという動きも広がればいいな、というのはあります。
藤本: 次世代機でリアルな表現ができるようになってきて、対象年齢が高いゲームが増えている中で、初めてと言ってもいいくらいの非常にカジュアルなゲームじゃないかと思っています。これがマーケットを広げるきっかけになって、他社さんもどんどんソフトを出してくれるようになれば、もっともっとマーケットも活性化していくと思うので、我々としても頑張ってアピールしていきたいと思います。
波間: マルチプラットフォームで全世界同時発売というのは大変でしたが、今後のゲーム業界では避けて通れない道だとも思います。辛いですけど、世界中のユーザーがほぼ同時に通信対戦ができるというのはとても魅力的なことでもありますので、恐れずチャレンジしていって欲しいですね。
三戸: 藤本さんも先ほど言われましたが、なかなかない毛色の違った作品になっていると思います。なので、キャラクターゲームということで敬遠せずに、ちょっとどんなもんだろうと遊んでみて欲しいですね。
冨澤: 社内ライブラリの開発担当として言わせていただきますと、当社は他社さんと違ってあまり社内技術の存在をアピールしてはいませんが、実はバンダイナムコゲームス、結構できるぞ、というものを実現していきたいと思っています(笑)。
ディンプス大島氏
———最後にゲームを楽しみにしているユーザーさんに。
大島: 今回のタイトルは物量も質も自信を持っています。音楽もボリュームを大きくして聴いてみて欲しいですし、声優さんにもとても頑張っていただいたので、ドラゴンボールらしさは表現できていると思います。存分に楽しんで貰いたいと思います。
加茂: 10歳に満たない子どもさんから30代まで、全てのドラゴンボール世代の方に一緒に楽しんで貰える作品になっているはずなので、ぜひ皆さん1枚と言わず、2枚3枚とお買い上げいただけるとありがたいかなと思います(笑)。
後藤: バトルの部分ですが、悟空は接近攻撃、クリリンは遠距離攻撃の頻度が高く、ギニューはピンチになるとボディチェンジ確率が急上昇する……といった、キャラクターの性格付けをかなり細かく設定しました。
がむしゃらにプレイしているだけだとなかなか気付きにくいかもしれませんが、細部までドラゴンボール好きがこだわって作った作品です。そういう部分も楽しんで貰えればと思います。
それから最高難易度にぜひ挑戦してみて欲しいですね。COMとの激闘の中で、オンライン対戦で勝つためのコツが閃くかも知れませんよ。
青木: 今回は色々と開発で大変だった点などを話しましたが、ドラゴンボールを楽しみたいと考えている全ての人の期待に応えようとした結果でもあります。プラットフォームはどちらでも構いませんので、たくさんの方々にぜひ楽しんで欲しいと思います。
藤本: タイトルの「バーストリミット」は「限界突破」という意味で、その精神で作ったゲームです。世界同時発売ですので、初めて本当の意味での「天下一武道会」が開かれると思います。ぜひ世界のプレイヤーと一緒になって遊んで欲しいですね。
波間: 非常に多くのスタッフで、かなり苦労して作ったゲームです。出来には自信がありますので、是非楽しんで下さい。
三戸: 今回はかなりの時間をかけた作品ですし、これまでの話から分かるように、かなりスタッフが熱を入れて作ったゲームです。ドラゴンボールのバトルやドラマを集約したものです。バトルに慣れない人はガチャプレイもできますし、プレイしていくと実は奥深い部分も体験することができると思います。ドラゴンボールという世界の中で、その世界を満喫しながら、ドラゴンボールらしい楽しくて熱いバトルができるように力を入れて作り、実現できたと思います。是非キャラクターになりきって楽しんで欲しいですね。
———ありがとうございました!
品川のバンダイナムコゲームス未来研究所にて
※当ページでは、ゲームニュース&コミュニティサイトiNSIDEにて掲載された記事をご紹介しています。
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