ムービーの総尺は120分!Xbox360からリメイクで蘇ったWii『デッドライジング ゾンビのいけにえ』開発秘話
プラットフォーム
導入製品
CRI Sofdec
———2008年1月、2月頃にはそれなりのものが見えていたということでしたが、開発で大変だったのはどういった部分ですか?
中井: 広いマップを実現することや、ゾンビの数をいかに出すかというメモリとの戦いが一番でしょうか。
トーセ・坂井氏
坂井: 当時、デザイナーはどん底にいまして(笑)。モールは広いけれど、ゲーム性を考えるとモール内でローディングは入れたくないというのがありました。モールは見渡しが良くて向こうまで見えるので誤魔化しが効かないので大変でした。最初からそれは想定してメモリは多めに割り当ててもらっていたのですが、それでも足りずに増やして増やして対応していると、逆にその他の部分が厳しくなってきて、最後は全体から不要なものを削っていく作業をして、それで何とか収めることができました。
———ゾンビを沢山出すという点も苦労が多そうですね
三宅: ローディングをしないとすると一つのエリアで出すゾンビはどんなに工夫しても30体が限度だったんです。あの広いモールの中にゾンビが30 体しかいないと、本当にスカスカになります(笑)。それで色々な試行錯誤がありました。
坂井: ホールに霧を入れるという案もありましたね(笑)
後藤: 地面から生えてくるというアイデアもありました(笑)
トーセ・三宅氏
中井: プレイヤーの周りだけ明るくて、向こうは暗くするというのもありましたが、プレイヤーが移動するにつれてゾンビが出てくる、という仕様に最後は落ち着きました。2008年の10月頃、東京ゲームショウを終えて、トーセさんに缶詰めになるくらいの段階で、考えられる方法を全部議論して、全部試して、「この方法以外にない」となんとかこの仕様に落ち着きました。
大量のゾンビの表現に苦戦
三宅: ゾンビ自体も、モデリングデータは同じでも、異なるテクスチャを張り付けてバリエーションを出したり、少ないメモリで沢山のゾンビを出す工夫がされています。
坂井: 例えば地下駐車場のゾンビは車で轢くだけなので、ボーンが少なかったり、腕の方はかなり簡略化されていたりして、その分、数は沢山出ています。技術的な努力だけではなくて、仕様面の工夫も重ねて作りました。
中井: モールのスケールを小さくしようという案もありました。事実、中庭は少し小さくなっています。でも、アメリカのショッピングモールの広大さは表現したい部分でしたので、そこは変えずにそのまま入れています。
———前作から素材を流用している部分もあるのですか?
三宅: 素材は可能なものは流用しています。
坂井: ただ、もちろん作りかえはかなりしています。使える部分は使いながら、Wii 用にどう削っていくか、機械任せではなくてデザイナーの手で作業していきましたね。
———ムービー部分もかなり苦労があったと聞いています
後藤: 前作のムービーは全てリアルタイムだったのですが、それをWii にするにあたって、ムービーにしようということになったんです。でも、物凄い数のムービーが必要で・・・。最初はXbox360 版をデバックモードで動かしながらキャプチャしていたのですが、実はデバックモードだと時計の針がないとか、なぜかロッカーの扉が表示されないなどの制限があって、普通にゲームをプレイしながらキャプチャしたので非常に時間がかかりました。前作には時間の概念があるので、必要な場面の時間にきっちり合わせる必要があって大変で、しかも完璧だと思ったら時計が10 分違うと怒られたりして・・・(笑)。
トーセ・後藤氏
———なるほど。ムービーの総量としてはどのくらいになったのでしょうか?
後藤: 撮ったムービーの総数は100 以上で、総尺はなんと120 分以上ありました。撮ったは良いものの、今度は容量の問題がでてきます。最初は任天堂標準のプログラムで圧縮していたのですが、ムービーだけで4GB 以上を使ってしまって(笑)。それで中井さんに色々と相談しました。二層ディスクにするか、二枚組にするか、あるいは上下の黒帯を大きくしていって、ムービーは画面の1/4 くらいの表示にすれば収まりますと(笑)。
中井: カプコンのプログラマにも相談をしてみると、Sofdec(※)が良いと聞きました。そのプログラマが言うには、Sofdec は絵の前と後の差分を取って圧縮するから良い具合にサイズが小さくなって画質も保てるんだよ、と。そして実際に圧縮前と圧縮後のムービーを見比べてみると、ほとんど違いが分からなかったんです。それでトーセさんにも試してもらうことにしました。
※CRI Sofdec・・・Wii、PLAYSTATION3、Xbox360 をはじめ、PSP やニンテンドーDS などさまざまなプラットフォームに展開するCRI の高画質動画再生システム。独自コーデックを採用しており、画質を損なわずに高度に圧縮するのが特長。また、ムービーに透過値を持たせるαムービーやエフェクトムービーなど、ゲームに最適化されたさまざまな機能を搭載している。
———どのくらいの効果がありましたか?
後藤: 軽く4GB を超えていたものが、2GB くらいになりました。約半分に圧縮できましたので非常に助かりました。
西倉: 導入するのもほとんど支障なく出来ましたね。
———ムービーのビットレートはどのくらいで作りましたか?
後藤: 2Mbps で作っています。とにかくディスクの中に収めようという方向で選びました。
———CRI では決められたデータサイズの中でできるだけ画質を良くエンコードするご相談も承っていますので、ぜひご相談いただければと思います。当社でエンコード作業を引き受けるサービスもあります。
後藤: 確かにいくつかのムービーで思うように画質が出なかった箇所がありましたね。今思えばもっと早くに相談していればよかったですね。
中井: 次回からはぜひ相談させていただきます。
———ディスク全体のデータの割合というのはどのくらいなのでしょうか?
西倉: 音声が200MB、ムービーが2GB、ゲームデータが800MB くらいです。いかにムービーが多いかということですね(笑)
———ムービーを単純再生以外に変わった使い方をされたりしていますか?
坂井: タイトル画面をリッチに見せるために、背景にムービーを流していますが、それもSofdec で動かしています。
後藤: はじめは背景は真っ黒でも良いのではないか、とも考えていたのですが、やはりXbox360 版と同じようにしたい、という要望があり実現しました。
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