導入事例

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最新技術で温故知新・・・開発者の思い入れが詰まった「ハルヒ」の集大成『涼宮ハルヒの追想』

プラットフォーム

PlayStation 3 PSP

導入製品

CRI ADX2 / CRI Sofdec2

2011年5月16日インタビュー

———今回はPS3、PSP版でCRIのサウンド用ミドルウェア「CRI ADX2」、PS3版でムービー用ミドルウェア「CRI Sofdec2」をご採用いただいていますね。(CRI)

小林:もともと「ADX」は過去のPSPタイトルで使っていて、慣れていましたし、今回はPS3での開発が初めてで、さらに新しいチャレンジに取り組みたかったので、できるだけ不安材料を減らしたいと思っていました。実は自分でも過去に音声ミドルウェアを作って、かなりトラブルに遭遇した経験があったので、使わない理由がない。そこで、せっかくだから「ADX2」にしようと。

———実は「ADX2」の開発段階から「次のゲームで使いたい」とお声がけをいただいた経緯がありましたね。それで開発チームの意気が改めて上がった部分がありました。(CRI)

小林:フェードイン・フェードアウトや、ボイスハイライト機能の「リアクト」(※)など、こちらの要望を受け入れて、必要な機能を先に実装していただけたりもしましたね。おかげで助かりました。ただし、実際の活用では音を途切れずに、綺麗な音質で鳴らすなど、基本的な機能に留まってしまいました。「2」にはいろいろ、おもしろい機能が実装されているのに、使い切ることができなかったんですよ。次回はぜひ挑戦してみたいですね。
(※)ADX2に搭載されている機能で、BGMの再生中にセリフを再生すると、BGMの音量が自動的に下がる機能。ゲーム中では、オプションの「BGM音量調整」でON/OFFを切り替えることができる。

———ADX2のどういった部分を魅力的と感じましたか?(CRI)

小林:いろいろありますが、リアルタイムミキサーは可能性がありますね。音楽家さんもおもしろがっていました。ただし、あの機能を使いこなすには、サウンドパートとの協力が必要になります。ただ今作ではPS3版とPSP版との間で仕様面での互換性を重要視しましたので、歩調を合わせる意味でも挑戦しませんでしたが、今後は考えていきたいですね。

———「ADX2」では新たに「HCA」という高圧縮の独自コーデックが追加されたのですが、ご活用いただけましたか?(CRI)

澤坂:はい、圧縮率がとても高いので助かりました。音声ファイルでは44.1kHzで録音したマスターデータを、いちどモノラル、22kHz、16ビットのwavファイルに変換して、そこから実機用データに変換しています。いろいろ検証した結果、今回はその仕様が最適となりました。

小林:そういえば常々、アドベンチャーゲームのボイス表現で要望があるんですが、よろしいでしょうか?

———どうぞどうぞ、ぜひお聴かせください。(CRI)

小林:アドベンチャーゲームで、プレイヤーがボイス付きメッセージをスキップできる機能がありますね。あれがなんだか味気なくて。2周目以降では良いのですが、1周目では音声をカセットテープのようにキュルキュル早送りして聞ける、くらいが良いと思うんです。最近ではHDDレコーダーなどで、そうした機能がある製品もありますよね。音声が1.5倍から2倍くらいで早送りできれば、いいんじゃないかなあと。

———「ADX2」にも、似たような機能がありますが、セリフのピッチを変えず、かつ聞き取れる速度で早送りするには、1.3~1.5倍程度が限界になってきますね。(CRI)

小林:そこはぜひ今後の改良に期待したいです。また欲を言えば、普通にボタンを押していると、キュルキュルと早送りされて。ぐーっと押していると、ひゅーんひゅーんと早送りが早くなって。ボタンを放すと、パッと元に戻るとか。アドベンチャーゲームも、そうしたユーザビリティを、もっと追求した方がいいと思うんです。もちろんゲームはリアルタイムで素材を読み込んでいるので、けっこう大変だというのは分かるんですが。

———そうですね。単純に音声を2倍速で再生することはできますが、そうすると声優さんの持ち味も失われてしまいますからね。今後研究していきたいと思います。(CRI)

小林:余談ですが、今回UIまわりで、トルネが参考になりました。実際、本作のユーザーはトルネの所有率が高いと思うんです。実は開発バージョンを家に持ち帰って、ちゃんとバックグラウンドでトルネを動かしながら遊べるか、チェックしたりもしました。

———なるほど。言われてみれば、その通りですね。

小林:他にも、たとえばPS3版ではゲームを初めて起動すると、画面が一枚出てきて、どんな大きさで画面を表示するか設定できるなどは、まさにトルネと同じですね。最初にSCEさんに「トルネのようなUIを作りたい」お伺いを立てたとき「理想ですが、けっこう大変ですよ」と言われて、逆に腹をくくりました。

澤坂:ほとんどのHDテレビでは、画面の大きさが85%くらいに初期設定されているんです。そのためはじめからフル画面を想定してゲームを作ると、周囲が見切れてしまうことがあるんです。

小林:そこで多くの企業では、画面を85%くらいにして、外枠もデザインするんですよ。ただ、それだと間が抜けた感じになるんですよね。テレビの設定を「ドットバイドット」にしてもらうと、そうしたゲームが多いことがわかると思います。逆にPSPのゲームだと、モニタいっぱいに表示させられます。本作はPS3版とPSP版で同じように遊べることが重要だったので、PS3版の表示をトルネのように、ユーザーが調節できるようにしました。

■映像面では「Sofdec2」でフルHDムービーを圧縮

———話が映像面に移ってきたところで、映像関係のミドルウェアについても伺います。PS3版では「Sofdec2」をご採用いただきましたが、採用の理由は何だったのでしょう?(CRI)

小林:「Sofdec」には以前から馴染みがありましたし、「Sofdec2」も良い評判を聞いていました。また、PS3での開発は本作が初めてだということがありました。特にサウンドと違って、グラフィックはパッと見ただけで違いがわかりますからね。しかも本作ではゲーム機ではまだ珍しいフルHDでの開発です。そこで「Sofdec2」を採用することになりました。ところで「Sofdec2」は「Sofdec」とどのような違いがあるのでしょうか?

———「Sofdec」と「Sofdec2」では、基本のコーデックはが同じですが、エンコーダの仕組みが変わったり、データフォーマットなどが変わったり、ビットレートのコントロールシステムが加わったりと、ひとつひとつの機能により磨きがかかっており、基礎体力が増しました。(CRI)

小林:また、本作では10分以上のフルHDムービーを収録しています。非常に高いビットレートで再生しているんですが、映像の乱れや音途切れが無かったので助かりました。CGだけでなく、声優インタビューのムービーも、非常に綺麗でしたね。

———CRIでは有償でエンコードサービスも提供していますが、今回は自社でエンコードを行っていただきましたね。

小林:エンコードはバンダイナムコゲームスさんにお願いしたんですが、あまりにサクッとできちゃったんですよ。あとはムービーファイルを送ってもらって再生してみたら、あっさり再生できちゃいました。

澤坂:実際には、そこからのROM焼き作業が大変でしたね。ソースをもらってから、マスターディスクに焼いて、実機でテストするまで、6時間かかりましたから。しかも通常版、限定版、デバック版など、あわせて6種類必要で、これがテストごとに必要でした。

小林:とりあえずプログラマにマシンは2台ずつ必要ですね。こんな風に、開発の終盤にさしかかると、軍隊で言う補給や兵站(へいたん:活動支援)の重要性が骨身にしみました。ホントに良い経験をさせてもらいましたね。フルHDってこんなに大変なんだと言うことが、やってみて初めて分かりました。

二見:だから皆さん、フルHDでのゲーム開発には手を出されないんだろうなあと(笑)。実は僕もPS3での開発が初めてだったので、よく分かってなかったところがありました。なので勢いで「やっちゃおう!」と(笑)。

小林:途中で「720Pにしていいですか?」って聞きましたよね。

二見:残念ながら、その提案をいただいたときは、もう引き返せない状態になっていたので「ダメです」と(笑)。

澤坂:PS3とPSPでのセーブデータ共有など、純粋にPS3に収まらない話が多かったのも、大変さに輪をかけましたね。
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