マルチプラットフォーム開発の難しさを
『戦国BASARA2 英雄外伝』開発チームに聞きました
プラットフォーム
導入製品
CRI ADX / CRI Sofdec
———ミドルウェアに期待するものや、こんな技術に注目している、というのがあれば聞かせてください。
小林: サウンドに期待する部分は大きいですね。新しいハードが出た時に、サウンドは後回しにされがちなんですね。次世代機でも、やっぱりサウンドは最後に手をつけることになっちゃって。なので、そこを早い段階でケアしていただけると採用するメーカーも多くなると思います。
あとは一括ライセンス支払いとロイヤルティー支払いの損益分岐点が非常にいいところを突いている(※2)ので、とても悩むというくらいですね(笑)。
(※2)CRIWAREの価格体系は、(1)タイトル別一括ライセンス方式、(2)製造本数に応じたロイヤルティー方式、の2つから選ぶことができます。
———そろそろ次世代機で、という話はありますか?
小林: BASARAシリーズはもともとコアなゲームではなく、誰でも遊べるカジュアルなゲームを目指してきたので、社内でもPS2向けゲーム開発が少なくなってきているなかで、最後までPS2をやり続けています。やはりPS2は何といっても一番普及しているハードなので、そこで出すということは、そのハードを持ってないから遊べない、ということは少ないので良かったと思います。
———『戦国BASARA』シリーズの海外展開は・・・?
小林: 『BASARA1』だけは『Devil Kings』というタイトルで海外に出しました。『BASARA2』も当初は計画したのですが、海外を考えるよりは国内に特化してより良いものにしようということで、国内だけにしました。戦国というテーマなので、なかなか海外には受け入れられないということで国内に特化しています。ただ、今後はまた状況次第だとは思います。
———業務用では『戦国BASARA X』を作られていますね。
小林: こちらはシンプルな2D格闘ゲームで、僕がプロデュース、シリーズ全作に関わっている山本がディレクターをやって、開発は横浜のアークシステムワークスさんにお願いしています。『ギルティギア』を作った会社さんで、飛び込み営業で2D格闘を作って下さいとお願いしに行ったゲームです。ちょうど『BASARA2』を作っている頃に、チームの中で『ギルティギア』が好きなスタッフが多くて、アークさんが引き受けてくれるならやろうということでスタートしたプロジェクトです。恐らく他の会社さんとは有り得なかったコラボレーションですね。
———武将同士を戦わせてみたいというコンセプトなんでしょうか?
小林: そうですね。僕らも『HEROES』で対戦をやろうとしていたので、同時期に2つ並行的に同じテーマに取り組んでいたことになるかもしれないですね。
———それが別の形で実現したと。
小林: そうなりますね。これは蛇足ですが、『HEROES』では片倉、浅井、お市という3人を新しくプレイヤーキャラとして用意しましたが、アークさんの方でも『X』のプレイヤーキャラとしてお市を作っていたりして(片倉と浅井は『X』では「援軍」として登場するため、操作できない)。途中で出来たものをやりとりしながら一緒に作っていった形です。
———稼動開始は4月だということですが?
小林: はい。既にほぼ完成していて、格闘ゲーム好きなら絶対楽しく遊べる作品になっています。ぜひご期待下さい!
———「Wiiウェア」や「Xbox Live Arcade」のようなデジタル流通にご興味は?
小林: 興味がないわけじゃないんですが、しばらくはパッケージ作品がメインになると思います。
———なるほど。今後も据え置き機をメインにやっていく感じでしょうか?
小林: そうですね。ただ、個人的に遊ぶ機会は携帯ゲーム機が多いですね。結局のところ、それぞれの特長を活かしたゲームを作っていけばいいと思っていて、据え置きに向いたゲームは据え置きでやればいいし、携帯に向いたゲームは携帯でやればいいし。両方とも魅力があって、僕の場合はたまたま携帯機に縁が無かっただけだと思います。今は、以前よりもハードが分散したイメージがあって、タイトル毎にどのハードが適切なのか悩みますね。
『戦国BASARA2 英雄外伝(HEROES)』が終わって、『デビル メイ クライ4』が終わって、「次に何やるんですか?」という話だと思いますが、でもまだ何も言えません(笑)。乞うご期待ということで。
———他の開発者の方に一言ずつメッセージをいただけますか?
高野: 自分自身はDSを担当する機会も多くて、別の作品になりますが「救声主」も、もう少し早いタイミングであれば採用したいなと思っていました。こういったツールには注目していますね。
※救声主・・・CRIWAREの一製品でNINTENDO DS専用の音声再生システム。高音質、高圧縮が特長。
浜: ハードがどんどん進化してきて、コンテンツを作るのも大変になってきていると思います。お互い、ミドルウェアなどを上手く活用しながら頑張っていきましょう、といったところですかね。
島守: 他の開発者の皆さんには学ぶところが多いですね。どこのメーカーも素晴らしい作品を作られているので、それに負けないように頑張っていきたいです。
小林: ゲーム作りは大変ですが、新しいハードに関してはハードメーカーさんと一緒にがっちりやることもありますし、技術的なことであればこういうミドルウェアメーカーさんと一緒に詰めていくというのも一つだと思います。クリエイティブな面も技術の面も、諦めずにやり通せばいずれ結果も咲くと思っています。お互い頑張って何か新しい事にチャレンジしていきましょう!
———では、最後にゲームユーザーさんに一言お願いします。
高野: このゲームは音なしではできないゲームだと思います。ユーザーさんに喜んでもらえる音やボイス、音楽といった演出の裏にはこういう技術も使われているんだということも踏まえながら遊んでもらえれば、また違った面白さもあるんじゃないでしょうか。是非楽しんでください。
浜: コアゲーマーからライトユーザーまで、皆さんがそれぞれの楽しみ方をできるゲームだと思います。楽しんで欲しいですね。
島守: 良くも悪くも勢いのあるゲームを作っているつもりです。多少、大味になっている面もあると思いますが、楽しく遊べるように作っているつもりですので、堅くならずに楽しんでゲームをして欲しいと思います。
小林: 楽しく遊んで貰えるように色々工夫しているのですが、技術的な部分でも色々と悩みながら、相談しながら新しい事を勉強してゲームを作っています。今回の導入事例紹介記事ではそういう部分も分かってもらえると嬉しいなと思います。ただ、一番はやっぱり楽しく遊んで、色々な人に遊んで欲しいということですね。また今回の反省も踏まえながら、どんどん新しい事にチャレンジしていきます。是非色々な意見をいただければ、より良いゲームに繋がると思います。色々な意味で応援していただければと思います。
2008年1月28日 大阪にて収録
※当ページでは、ゲームニュース&コミュニティサイトiNSIDEにて掲載された記事をご紹介しています。
CRI ADX / CRI Sofdec
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