導入事例

ソウルキャリバーV イメージ画像

世界観も開発体制も一新!『ソウルキャリバーV』世界一の武器格闘ゲームであり続けるための挑戦

プラットフォーム

PlayStation 3

導入製品

CRI ADX2 / CRI Sofdec2

2012年1月30日インタビュー
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———PS3とXbox360のマルチタイトルということで、圧縮などに苦心された点はありませんでしたか?それぞれディスク容量が違うハードなので

中鶴:「ADX2」に搭載された新しい音声コーデック「HCA」を使うことで、従来よりも圧縮できました。その結果、サウンド数は増えましたが、容量は減っています。いつもサウンド容量で盤面を消費すると言われていたので、貢献できましたね。両機種ともサウンド容量は全体の5%で、ムービーが25%、残りがキャラクターモデルやモーション、ステージデータなどとなっています。特に今回はステージが精密になっている分、データ容量が増えました。

———ムービーでは「CRI Sofdec2」を使用したとのことですが

般若:はい、ムービーをエンコードする際も、GUIでビットレートを選んでバッチ処理をするだけで、特にトラブルもなく作業が終了しました。「あ、できちゃった」という感じです(笑)。画質にも大変満足しています。

「Sofdec2」では1つのムービーデータに複数の言語の音声データを持たせることができる「マルチリンガル機能」も使いました。映像の部分を共通化できるので、データ量を大幅に減らすことができました。日本語・英語2か国語分の5.1chサラウンド音声データを入れています。

ムービー周りを担当した般若氏

ムービー周りを担当した般若氏

———「ADX2」ではファイル圧縮やストリーミング管理などを行う「ファイルマジックPRO」というミドルウェアが統合されましたが、活用されましたか?

森:「ファイルマジックPRO」については『Broken Destiny』でも使っていました。他のファイルシステムを使うアイディアもありましたが、「ADX2」の導入が決まった時点で、あわせて採用しました。データ圧縮やストリーミング再生時のデータ裏読みなどで使用していて、ロード時間の短縮に貢献しています。

———今回は技術サポートでCRIとバンダイナムコゲームスの間で毎月、定期的なミーティングが行われたとのことでしたが、効果はどうでしたか?

中鶴:電話やメールに加えて、お互いの顔を見合わせて気軽に言い合える場ができたので、とても良かったですね。僕らも社内ライブラリから乗り換える以上、それと同等の安心感が欲しかったですし、「ADX2」ツールのブラッシュアップに自分たちも参加させて頂いているという意識もありました。そうして洗練されたツールは、最終的に自分たちが使うことになるわけですからね。特にサウンド面については、こちらもいろいろとやりたいことがあったので、助かりました。ツールやライブラリって、実際に使ってみて初めてわかることも多いと思うんですよ。たとえばボイスデータを15,000個、同時に読み込む上で楽な方法はないか、なんて聞いたこともありましたよね。

CRI:15,000個には驚きました。でも、それが必要なことはツールの開発時には気づけませんでした。意見を言っていただいてすぐに反映しました。

森:こうしたサポートメールでは聞きにくいことを、定例ミーティングで言えたのは良かったですね。

———今後挑戦したい技術的課題を教えてください

中鶴:漠然としていますが、全体的なゲームの流れや演出について、サウンドも含めて考えていきたいですね。今のゲームはモード切替型の縦割り的な構造が主流ですが、そこをもっとシームレスにしていくイメージでしょうか。技術は発達しても、それを使うのはクリエイターなので、そこを煮詰めて勉強していきたいですね。

矢野:『ソウル』シリーズが世界ナンバー1の武器対戦格闘ゲームであり続けるために、今後もさらに成長していきたいですね。より興奮度というか、プレイして熱くなるための表現を磨いていきたいなあと思います。開発環境の面ではプレビュー環境の強化です。パラメータの変化をリアルタイムにミックスダウンして実機上で鳴らせるようにして、空いた時間を新しい表現を考えるために使いたいですね。

船田:「自分の声のクリエイションキャラで対戦」を実現してみたいですね。今はプリセットされたボイスデータでプレイしていますが、将来的にプレイヤー自身の声を当てられるようになれば、遊ぶ側も白熱するでしょうし、没入感も出ると思います。

森:『V』ではサウンドデザイナー側で多くのことができるようになりましたが、それでもまだプログラマー側を介していることが多いんです。そこをいかにサウンドデザイナーだけで実現できるような環境を作れるかが求められていると思います。それこそゼロタイムで、新しい挑戦を繰り返し行えるようにしたいですね。まず自分の関わっているプロジェクトで、そうした環境構築のノウハウをためて全社的に広げていければいいなと思っています。

般若:ムービー圧縮については、ある程度ツールが熟成されてきました。それでも細かいところは改善の余地があるので、地道に見えるかもしれませんが、1つずつ取り組んでいきたいですね。

■世界一の武器対戦格闘ゲームに向けて

———今後ゲームプラットフォームが進化していく中で、サウンドはどのように変化していきますか?

中鶴:メロディ、リズム、ハーモニーという音楽の基本的な要素については、今後も変わらないと思います。むしろ、それらをどのように活用して、プレイヤーの心理をコントロールしたり、より楽しめるような感覚に持って行くか。そのためのツールや使い方が進化していくのではないかと思います。状況に応じてBGMがリアルタイムに変化していくなどはその一例でしょう。その上で何曲か楽曲データを持っておき、状況に応じてループ再生が広がっていったり、フレーズ自体もプレイの実績に応じて更新されていったり。そんな風に音楽や効果音の素材自体よりも、プレイヤーが操作した結果に追従して、よりサウンドが変わっていくと良いと思いますし、そうしていきたいですね。

———サウンドトラックも発売されるそうですね

中鶴:はい、Creative Intelligence Artsさんから、1月31日に音楽CD「SOULCALIBUR V Original Soundtrack」が発売されました。全3枚組+DVDというパッケージで、レコーディングのメイキング映像も入っています。全部で56曲で、インゲーム+ストーリーモードの楽曲が入っています。

———では最後に、開発者に向けてのメッセージと、ユーザーに向けてのメッセージをそれぞれお願いします

中鶴:まずお客様に向けて、いろんな意味で新しい『ソウルキャリバー』に変わりました。今まで遊んでいた方々も、これから遊ばれる方も、いろんな驚きや発見があると思います。ゲームを隅々まで楽しみながら、いろんな発見をして欲しいですし、僕らの音が手助けできれば嬉しいですね。

開発者の方々には、今回僕らはいろんな人とチームを組みました。その上で技術やテクニックも大事ですが、最終的にはコミュニケーションだと実感しました。技術がいくら進んでも最後はコミュニケーションですし、開発者同士が言葉で会話して、お互いにやりたいことを共有して、完成形に向かって進んでいく大事さは変わらないと思います。綿密なコミュニケーションをとって、良い物を創っていきましょう。

中鶴氏

中鶴氏

矢野:『V』は世界一の武器対戦格闘ゲームになったと自負していますし、今後もシリーズはその地位を保ち続けていきますので、ご期待ください。確実に言えるのは、前作に戻れないくらいの進化が見られるということです。ぜひ触ってみてください。

またお客様からサウンドを評価していただけるのは嬉しいのですが、自分たちとしては、まずゲームありきだと思っています。ゲームが面白くて、その理由を分析する過程で、サウンドがいいからだと感じてもらえると、バランスが良いかなと思います。開発者の方には、共に進化し、世界を盛り上げていきましょう。

矢野氏

矢野氏

森:今回、『V』を作る上で過去のシリーズを遊び直しました。その上で個人的にも、基本は押さえつつも完全進化したタイトルだと自負しています。これまで以上に「口当たりのいい」タイトルになっているので、ちょっとでもグラフィックにピンときたら、遊んでみてください。その上でサウンドにも耳を澄ましてもらって、こだわりを見つけてもらえれば嬉しいです。

開発者の方には技術の向上と共に、見せたい物がどんどん増えていると思います。そんな時でも何を見せたいかを念頭において、メリハリを付けて、より自然なサウンドにしていくような。「足し算」以外の表現を見つけてもらえればと思います。

森氏

森氏

船田:進化した『ソウルキャリバー』で活躍する、キャラクターそれぞれのボイスに耳を傾けてもらいたいなと思います。キャラの組み合わせによって、いつもと違うことを喋っていたりするので、ぜひ注目してください。クリエイションでのボイスエディットも、さらに幅広く設定できるようになっています。好きな声を作って白熱した戦いを繰り広げてもらえればと思います。開発者の方々には、僕はまだまだ新参者なので、若い力でゲーム業界を盛り上げていければと思っています。よろしくお願いします。

船田氏

船田氏

般若::『IV』から参加して3回目なんですが、いつも思うのは、モードがたっぷりあることと、どれもマジメに創られているので、安心して遊べるということです。新キャラクターについても、ストーリーモードを遊ぶと、感情移入もできるのかなと思いますので。

開発者の方々には、自分はどうこう言える立場ではありませんが、モノを創る上でさまざまな葛藤があると思います。その中でも今回は、これだけはやろうという、自分なりのテーマを入れていけばいいと思いますし、僕もその考えで進めたいと思います。

般若氏

般若氏

夛湖:ユーザーの皆さんには言うことはいつも同じで、『IV』から『V』が発売できたのも、ユーザーさんの声があってこそだと思っています。我々から言えるのは、ありがとうございましたということだけです。できれば今後も我々を支えていただければと思います。

開発者の方に向けてですが、同じゲームを作っている立場として、面白いゲームを世の中にどんどん出していきましょう。そのために考えなければいけないことは、技術面もさることながら、本当に面白いことだけに注力するということです。そのためには、ミドルウェアで出ている既存技術を何度も社内で作り直すようなことをせず、こういった外部技術を利用して手を抜けるところは抜いて、よりソフトが面白くなる部分にリソースを集中していきたいですよね。基礎技術の開発にリソースが取られすぎると、縮小再生産になってしまいますので、そうならないように、お互いに切磋琢磨していきましょう。

夛湖氏

夛湖氏

———ありがとうございました

(c)NBGI

※当ページでは、ゲームニュース&コミュニティサイトiNSIDEにて掲載された記事をご紹介しています。

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