導入事例

ベヨネッタ イメージ画像

"プラチナ"クラスの作品が完成~渾身のクライマックスアクション『ベヨネッタ』を手掛けたプラチナゲームズを直撃

プラットフォーム

Xbox360

導入製品

CRI Audio / CRI ADX / CRI Sofdec

2009年11月1日インタビュー

■譲れない一線

———魅惑的な女性主人公が特徴的ですね

神谷: そうですね。よく聞かれることですが、アクションゲームで敵を倒すのは当然です。でも、単にパンチやキックの力押しで倒せばいいというだけでは面白くありません。どう倒すかというところで個性を演出したいと思っていて、その味付けを考えた時、最初に思い浮かんだのが女性キャラクターです。

チームの中では、女性キャラクターには感情移入できないという意見や、一般的に女性キャラクターのゲームはあまり売れた実績がないということで心配する声もありました。ただ、そう大きな反対はなく、会社から特に言われることもなかったです。キャラクターに魅力があれば作る側の人間も乗って仕事ができるので、楽しく仕事ができたのは「ベヨネッタが魅力的なキャラクターだったというのもあるんじゃないか」と今となって思いますね。

———独特の戦闘スタイルはどのように作られていったのでしょうか?

神谷: ゲームのために考えた武器をメインに据えるということに僕はちょっと違和感を持っていて、何か実在する武器の斬新な使い方をさせたいと思ったんです。

最初の着想としては、銃そのもので敵をぶん殴ると。するとあれも鉄の塊だから相当痛いわけです。なので、ぶん殴って至近距離で引き金を引くというのはなかなか面白そうだと。そこで、『ビューティフルジョー』から一緒に仕事している、モーションデザイナーの甲斐(秀敏氏)に相談すると、足に銃を装備して蹴りで銃を撃つってのもどう? という話になって、せっかくなら、手の武器も足の武器もゲームを進めるにつれて入れ替えていくと攻撃のバリエーションも増えてゲーム的に面白そうだという風になりました。

それで最初は1つのボタンでパンチ、1つのボタンでキックという単純なアクションだったのですが、もう少しゲーム性を高めた方がいいという意見がありミーティングを重ねた結果、ボタンのコンビネーションで色々な攻撃パターンが出るという今のスタイルに落ち着きました。

神谷氏

神谷氏

———ゲームを遊んでいると、シームレスかつノンストップでゲームが進行していくというのが強く印象としてありますが、そのあたりは意識されていますか?

神谷: シームレスということに関しては、昔から実現したいと思っていました。ただ、技術的な都合でどうしてもローディングが発生してしまうんですね。でも、繋ぎ目で画面が暗転することで、次はムービー、次は戦闘、という風に段取りのようなものができてしまうのが非常に嫌だったんです。ただ、技術的に難しいことは分かっていたので、今回は強くは言わなかったのですが、プログラマーが自主的に頑張ってくれて、出来上がったものを見たら非常にシームレスで僕も驚くようなものができていたという(笑)。ゲームの冒頭では、プレーヤーを、いきなり何の説明もないまま時計塔の落下のシーンに放り込んでます。とにかく無茶苦茶な状況に落として、もがいて学べというスパルタ方式です(笑)。

橋本氏

橋本氏

橋本: しかも制作当初はそのシーンにも体力ゲージがあり、ゲームになっていましたね(笑)。スタッフがテストプレイをしても何の説明もないままなので、いきなりゲームオーバーになっていたんです。最初に出来たクライマックスシーンでもあり、スタッフが「クライマックスとは?」ということの答えが出たシーンでもあります。

※ 製品版では当該シーンに体力ゲージがないのでゲームオーバーにはなりません

———その気の抜け無さが『ノンストップクライマックス・アクション』の没入感を高めていますよね

神谷: 実は反省から生まれた面もあって・・・。最初に『バイオハザード2』を作った時、凄い演出を入れたいという欲が出てきて、ムービーシーンを多様して、エンディングにも立派なムービーを入れて、自分でも満足の行くものができたんです。でも、それって自己満足だったなって。だってエンディングの一番美味しい場面にプレイヤーはお茶飲んで画面を見ているだけですから。それはおかしいですよね。だから『デビルメイクライ』では脱出シーンではプレイヤーに渡して操作させたんです。別にムービーを突然終わらせてユーザーをいじめたいというわけではないんですが(笑)。

———今回ももちろん・・・?

神谷: はい、お楽しみに(笑)。今回は特にノンストップクライマックス・アクションということをコンセプトにしています。本当にコントローラーを握りっぱなしになるようなエンターテイメントを目指したので、その辺りは技術的なサポートもあって上手く表現できたかなと思います。

———シームレスなゲーム展開を実現するにあたって、技術的にはどのように実装されたのでしょうか?

大森: 常にデータの裏読みを行っています。実は『大神』の頃からやっています。次の場面に必要なリソースの管理は独自で行っているのですが、実際のファイル読み込みやデータの流量管理はCRIさんのミドルウェアに任せています。『大神』の頃は、部屋などの空間自体は裏読みができなくて、その空間にあるオブジェクトやイベントシーンを裏読みしていたのを、今回は更に一歩進めて、あらゆるものを裏読みできるようにしました。

———アクションではベヨネッタの黒髪も非常に魅惑的ですね

神谷: そこに辿り着くまでは大変でした。

ある日、誰かのアイデアで、攻撃ででっかい手とでっかい足を誇張として出すというネタが生まれたんです。凄く面白そうだと直感で思ったのですが、あまりにベヨネッタの戦闘スタイルに馴染まなかったので保留にしていたんです。

ちょうどその頃、ベヨネッタのデザインも悩みの種でした。僕は主人公を際立たせる、アクションを派手に見せる小道具があるべきだと思っていて、戦闘を美しくするスパイスがベヨネッタにも必要だと思っていました。今回は魔女なので、それが黒髪というのは絶対だなというのもありました。ただ、長い髪でアクションさせるとぐちゃぐちゃになってシルエットが崩れてしまうんです。それだと戦闘し辛いという声も上がって、ベヨネッタのデザイン自体の見直しをしていたんです。

髪の毛にこだわるのはやめてショートヘアにしたらどうか? とか、三つ編にくくったらどうか? という話もあったのですが、デザイナーが一番最初に描いた、長い髪の毛を腕に絡めたデザインは譲りたくなかったんです。そのデザインはベヨネッタが腕に髪の毛を絡めていて美しかったんです。最初はゲーム中で常にそうすることを意識したわけじゃなかったんですけど、悩んだ時には原点に戻ろうということで、魔女だから髪の毛を服にしていて、余った部分を腕から垂らしているという設定にしてみました。すると、そこからベヨネッタは魔法で髪の毛を何かの用途に使うという設定ができて、「でっかい手とでっかい足」というアイデアと結びついたんです。髪の毛を使って魔界から魔物の手足を召喚して攻撃するという「魔女」らしい設定やデザインとも合致しました。服が脱げるのは髪の毛を触媒として使うからですね。デザインは右往左往しましたが、最後の脱げる部分はパッと気づいたら出来ていましたね(笑)。

最後の最後で色々なアイデアが結びつきました。ゲームの神様っているんだなと(笑)。

———なるほど。モーション(動き)に関してはいかがでしょうか?

神谷: モーションは前述の甲斐が担当しています。モーションキャプチャーをして、それをベースにしながら、ダイナミックな動きに膨らませていきました。ベヨネッタに関してはリアリティにとらわれるよりも、「けれん味をさらに誇張する」という点が、モーションも、デザインも、エフェクトも全部でこだわった点ですね。

———あとは、眼鏡も譲れなかったと聞いています

神谷: 眼鏡も譲れなかったですね。キャラクターデザインは万人受けするに越したことはないですけど、みんなが納得するデザインを目指す必要もないんです。納得するというのは特に気に入っているという意味ではないですから。なので、デザイナーの島崎(麻里氏)とベヨネッタのデザインを詰めていって、最初に定例ミーティングで披露したとき、綺麗に賛否両論になったんです。それは余りに印象的で強烈なインパクトがあったからだと思うんです。その瞬間、僕はこのキャラクターはいけるなと確信しましたね。良い印象でも悪い印象でもどちらでも良くて、「まあいいんじゃない?」とか「どっちでもいいんじゃない?」はダメですね。心に引っかからないということなので。

その折角の「武器」にしている部分を取れという指示もありましたが、強烈に反発しまして今のスタイルに落ち着きましたね。

ベヨネッタの設定画

ベヨネッタの設定画

———今回、セガさんと一緒にやられて、ちょっとニヤっとするネタも散りばめられていますね

神谷: そうですね。ゲームはやっぱりエンターテイメントなので、ユーザさんの喜ぶ顔が見たいですよね。そう考えると、色んなネタを仕込みたくなるんです。隙あらばという感じで(笑)。

それにプラチナゲームズとして僕らは過去の資産が全くないので、出来る事が限られるんです。でも今回はセガさんのネタは大手を振ってできたので、ゲームの中に『スペースハリアー』や『アフターバーナー』の曲を入れたり、ステージ構成も2つのタイトルをモチーフにしたり、勝手に夢の競演を楽しんでました(笑)。

藤本: セガの役員が集まる会議で「ベヨネッタにセガの楽曲を使わせてください」と提案をいただき実現しましたね。

神谷: 一番緊張したのは、HIRO(川口博史氏)さんという『アフターバーナー』『スペースハリアー』『アウトラン』といったゲームの作曲をされた方に話を通しにいった時ですね。僕が高校時代から大事に持っていた『アウトラン』のサントラにサインをお願いしようかと考えたものの、実際に会ってイヤな人だったらどうしようと悩んでたんですが・・・。全くの杞憂に終わりました(笑)非常に寡黙な人ですけど、「この曲もどうですか?」という提案ももらって、感動しましたね。

(実は『アフターバーナー』の曲が流れるシーン、通常はアレンジ版が流れるところ、ある特殊な操作をすることで、オリジナル曲を聴くこともできるのだそう。その方法は秘密ですが、ぜひ色々と試してみましょう。通常は上田(雅美氏)によるアレンジ版ですが、ある操作をすることで、『アフターバーナー1』のバージョンと『アフターバーナー2』のメロあり/メロなしの3つに切り替えることができるとのこと。『アウトラン』『ファンタジーゾーン』『スペースハリアー』の曲が流れるシーンでも、それぞれオリジナル曲を聴く事が出来るそうです」)

———海外市場は意識されましたか?

神谷: あまりしなかったですね。当然、市場としてはワールドワイドを考えていましたが、ことさら海外向けにと考えても、やっぱり僕らは日本人なので、アメリカ人と同じ感覚は持ちようがないですよね。なので、ワールドワイドを目指すことは皆が共有していましたが、どちらかというと、変に意識することによってゲームの中身がおかしくなってしまうよりも、シンプルに自分達が思うものを形作っていこうと思っていました。

本当に魅力的なものは文化の違いを乗り越えられると思っていて、それはある程度今まで作ってきた作品で証明されているとも思います。

■技術的な側面

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