導入事例

ファンタシースターオンライン2 イメージ画像

100万ID突破!12年を経て登場したナンバリングタイトル『ファンタシースターオンライン2』で実現した「無限に楽しめるゲーム音楽」とは?

プラットフォーム

PC PlayStation Vita

導入製品

CRI ADX2 / CRI Sofdec2

2012年9月28日インタビュー

———それにしても、データ量が膨大になりそうです。

小林:どれくらいのデータ量にするか、ゲームプログラム側から明確な指示がなかったんです。それで、自分で作りたいだけ作ってしまいました(笑)。

———実際に「Sympathy」をプログラムする上で苦労された点はありましたか?

今別府:いろんな人に聞かれるんですが、実はあまり苦労してません。ただ、大量のサウンドファイルを組み合わせて再生するためのルールの設定は、結構苦労しました。一応どんな順番でも再生できるようになっているんですが、ちゃんと曲として聞こえないといけませんよね。そこで最終的に決まった構造でしかエディタ上で並べられないように、わざと制限を付けました。

こうしたルールがなければ、特に不具合が出た時に、わからなくなるんですよ。なにしろサウンドなので、ちゃんと意図した通りに鳴っているかとか、ホントにわからなくて。そこが大変といえば大変でした。

———たしかに、デバッグは大変そうですね。

小川:はい、苦労しました(笑)。QAチームから「BGMが一瞬消えたんですが・・・」などと報告があっても、どこが消えたか分からなかったり。

今別府:そこはログを出して、リアルタイムに中身の状況を画面に表示したりして対応しました。

小林:とにかくサウンドのファイル数が桁違いなので、個々のサウンドファイルの命名規則を考えるのが大変でした。このファイルは、どの階層構造に属していて、その中の何番目で、テンポやビートはいくつなのか、といった情報をすべてファイル名に反映させて、Excelで一括管理できるように工夫しました。そこまでしてから、エディタ上でサウンドファイルを流し込んで、編集していくわけです。今までのタイトルと比べて、楽曲を完成させるためのステップが一つ増えましたね。

今別府:エディタ上ではサウンドファイルが横一列に並んでいて、曲を再生すると今、どのファイルが鳴っているのか、すぐにわかるようになっています。ただ、並んだデータの数がすごかったんです。Windowsはデスクトップで幅が65000ピクセル以上になると、その部分はクリックできなくなるんですが、開発中にその制限を超えてしまって、画面をクリックしても反応しなくなった時はさすがに驚きました(笑)。

開発で利用されたエディタ

開発で利用されたエディタ

———BGMで挑戦したいことはありますか?

小林:もっと細かいレベルで曲を作ってみたいですね。本作では1-2小節単位でフレーズを作っていますが、さらに短い単位、たとえば4分音符や2分音符くらいで組み合わせて、フレーズそのものを作るようなものです。

増田:ボス戦でボスの状態が変わる時に、曲の位置を変えたり再生するトラックを変えたりしているんですが、そのタイミングで「シャキーン!」のようなSEをならす構想があります。今後の展開によってはそうした要素が加わるかもしれません。

■とにかくSEの量が多い『PSO2』

———BGM以外の、非プロシージャルな部分では、ADX2をどのように使われましたか?

今別府:SE、ボイスの再生、ストリーミングなど、一通り使っていると思います(笑)。特にAISAC(アイザック)(※6)は、ゲーム状況にあわせて変化するインタラクティブサウンドをサウンドデザイナーだけで実現できるので、思った通りの演出が手軽にでき、とても助かりました。プレイヤーがピンチになるとエネミーの叫び声が甲高くなったり、トンネルや洞窟内で反響音が自動的に変わったり、いろいろな場面で使っています。

今別府氏

今別府氏

(※6)「AISAC(アイザック)」…「ADX2」の機能。サウンドの音量やエフェクト、ピッチなどのパラメータを状況によって変化させ、インタラクティブなサウンドを作成できる。

小林:「ADX2」のツールをいじるのが楽しくて(笑)。BGMと同じようにSEでも、状況に応じた多彩な表現をしたいと考えていました。そこでキューに含まれる素材をたくさん用意して、ランダムで再生したりしました。たとえば敵が地面に卵を落として、そこから地面が盛り上がって雑魚敵が出てくるシーンがあるんですが、その時に土が盛る音を10種類くらい用意してランダムで鳴らしたり。

———なるほど。

小林:他にオンラインゲームならではの要素である、自分の攻撃が敵に当たった時に鳴るヒット音でも使用していますが、『PSO2』では、より爽快感の増すヒット音を目指しました。単に音圧を上げるだけでは、多人数で一緒に遊ぶため、すぐに音が飽和してしまう。そこで、なるべくプレイヤーを中心にヒット音が減衰するようにして、離れているプレイヤーには特定の要素の音以外は鳴らさないようにしました。これ以外にも、特定のSEについてはバスを通してコンプレッサーを入れて、音が飽和しないような処理を入れたりしています。

———かなり丁寧につくりこんでいますね。

小林:キャラクターの体型に応じて足音のピッチも変えています。背が高かったり太っていたりすると、足音が少し重めになったり、反対に背が低かったり痩せていたりすると、少し軽めになったり。このあたりもオンラインゲームならではの使い方でしょうね。

また本作では天候の概念がありますが、雨が降ると川の水流音が大きくなったり、といった調節も簡単でした。雨は天候に応じて、豪雨から小雨まで対応しています(笑)。

プレイ中にジェット機が航空支援してくれる時の音にもこだわりました。ジェット機が離れるにつれてカットオフのフィルターをかけたり、リバーブの成分を増やしたり。

小川:こんな風に良い意味で、やりたい放題でした。最初に小林がSEの仕様書を書いてきた時、その量に驚きましたが、結果的に当初の2-3倍にまで膨らんでいます。ここにいるメンバー以外は、全体像がわかってないと思います。

増田:とにかくこのゲームはサウンドのために使用しているシステムの数が多いんですよ。僕は途中からチームに加わって、サウンドのシステムも担当するようになったんですが、ソースコードをみて驚きました。

小林:プログラマーとは、僕の方でAISACでコントロールする項目や用途を考えておき、あるタイミングでお願いして実装するようなかたちで調整していました。

AISACによるSE制作についてムービーを提供いただきました(ジェット機音、足音、水音のデモムービー)



■他プラットフォーム版のサウンドはどのように!?

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